マイクロフォーサーズで子供の写真は撮れるか
OM-1を買っていた
ブログでは特に言っていませんでしたが、先日OM-1を購入して日々撮影しています。自分の主戦場は家族写真なので、家族の何気ない瞬間やしぐさを記録する目的で、主に25mm f1.2 proをつけたままにしてリビングに置いています。前回投稿したニューボーンフォトも、すべてこの組み合わせで撮影しており、やはりいいカメラであることは間違いないと思っています。
しかし、手放しにオールマイティな万能カメラかというとそうではなく、いくつかの弱点を受け入れたうえでの使用が前提となると考えています。
マイクロフォーサーズのカメラを手にする人はだれかと考えると、その小ささに惹かれて買ったカメラ初心者が多いと推測されます。しかし、カメラの大きさと画質は概ね比例関係にあるため、小さなセンサーのカメラの向き不向きを理解しないまま購入し、スマホからのステップアップを期待した初心者が「なんだこんなものか…」と肩を落とす様子を見るのは忍びありません。ゆえに、子供の写真を撮りたいマイクロフォーサーズユーザーの手引になればと思い、本稿を書いています。
子供相手は分が悪い
はじめにはっきり言ってしまいますが、家族写真、とりわけ子供の写真をマイクロフォーサーズ機で撮るのは厳しいときがあります。撮れないわけではないですが、常に高感度ノイズとの戦いになります。なぜかと申しますと、ひとつに「子供の写真を撮るのは室内が多い」ことと、「子供は動き回るためシャッタースピードを上げざるを得ず、結果として感度が上がる」ことによります。
やはり高感度が弱い
これはずっと言われていることですが、マイクロフォーサーズ機のセンサーは小さいため、高感度ノイズが出やすいです。フルサイズ機であれば、ISO 2000程度なら鼻歌でも出てしまいそうな余裕がありますが、マイクロフォーサーズ機だと厳しくなってきます。OM-1になったことで多少の改善はなされたそうですが、フルサイズの高感度画質を知っている身とすれば、それに追いついたとまでは感じられませんので、相変わらず高感度は苦手な模様です。個人的なマイクロフォーサーズ機におけるISOの許容限界は1600程度です。
ISO 2000の写真。拡大しなければまあいいかという程度ではある…
【対策1】暗い場所で使わない
これを言ったら身も蓋もないのですが、マイクロフォーサーズ機は暗いところでの撮影にあまり向いていません。いえ、「ナイトスナップで手持ち長秒楽しいやろ!」みたいな主張もあると思うのですが、そういう上級者の方々は脇においといて、自分のようなファミリーカメラマンが重きを置いていることは、いろんな場所で家族の大切な瞬間を写真に収めることです。「いろんな場所」には室内も含まれます。室内は人間が感じているより余程暗いもので、夜間の照明がついた時間だけではなく、朝方や夕方の太陽が弱い時間帯でも厳しいです。レンズの明るさにもよりますが、平気でISO 3200ぐらいは出ます。(ちなみに子供を撮る前提なので、シャッタースピードは1/160程度を想定しています)
室内でもいつでも簡単にきれいに撮りたいんじゃー!という方にはマイクロフォーサーズ機は向いていません。フルサイズのカメラを買ってください。
一方で、日中屋外では全く使用に問題を感じません。ISOも100や200でも十分シャッタースピードが確保できます。
暗い場所ではもう撮影を諦めるという割り切りスタイルです。
とはいえ、すっぱり諦めるのも辛いところ。暗いところは大変なんだぞということをご理解のうえ、次に進んでください。
【対策2】明るいレンズを使う
上述のとおり、暗い場所では感度が上がってしまいます。そこで、単焦点のf値が明るいレンズを使用することで、感度が上がりすぎることを防げます。f1.8のものであれば比較的安価ですし、中古の玉もたくさん出回っています。あるいはf1.4、f1.2といったレンズでさらなる明るさを求めると、ボケ味の意味でまた違った世界を味わうことができて楽しいです(沼)。
【対策3】Dxo PureRAWを使う
私としてはもっとも手軽な落としどころではないかと思っているソフトを紹介します。
わずか13900円課金するだけで、高感度でざらついた写真がトゥルットゥルになります。高いレンズの10分の1程度の課金で、手持ちの機材全てがノイズリダクションしてもらえるわけですから、買っておいて損はないと思います。
Dxo PureRAWによるノイズリダクションなし
Dxo PureRAWによるノイズリダクションあり
【高感度問題の総括】
以上をまとめると、
なるべく暗い場所は避け
撮るなら明るいレンズを選択し
それでも感度が上がってしまったら
Dxo PureRAWを使いましょう。
瞳・顔AFが弱い
動き回る子供を捉えるには、AFの速度、精度は必要なところです。以前使用していたE-M1MarkⅡと比較して、OM-1の瞳AFはぐっと良くなりました。しかし、私が所有しているZ6と比較するに、まだまだ実用レベルとは思えません。基本的に子供を撮るときは、AFポイントを都度移動していられないので、オールエリアでAFをすることになります。瞳およぴ顔の検出精度と、粘りがポイントですが、OM-1は両者ともZ6に及びません。いまやZ6も型落ちの品ですから、最新のボディのAF性能ならさらに、です。同じ顔の向き、構図でシャッターボタンを半押ししていても、それまで検出していたAFポイントがあさっての方へ飛んでしまうことなどもよくあります。最新機種であるOM-1でこうですから、他のマイクロフォーサーズ機も似たようなものか、それ以下でしょう。車や鳥の検出はけっこう凄いと思うんですけどね…
【対策】タッチシャッターを利用する
ファインダーを覗いての撮影は諦めましょう。ライブビューで構図を確認し、タッチシャッターで顔にAFポイントを合わせるのが最も確実です。幸い、マイクロフォーサーズ機はフルサイズ機に比べてボケにくい(ピントが厚い)ため、厳密に瞳にAFが合っていなくてもなんとかなることが多いと思います。ファインダーを覗き込み、AFターゲットパッドでAFポイントを移動することも可能ですが、背面液晶に保護フィルムを貼ると動きが悪くなることがあるため注意が必要です。
でも、やっぱりマイクロフォーサーズはいいぞ
ここまでマイクロフォーサーズ機ならではの苦しみ(言っちゃった)と、その対処について書き連ねてきたので、げんなりした方もいらっしゃったかもしれません。
しかし、こうしたことがわかっていながら、私が7年以上もマイクロフォーサーズ機を使っているのは、もちろんそこに良さを感じているからです。小型軽量で気軽に持ち出せ、レンズは比較的安価で質がよく、水と埃に対して無類のタフネスを誇り、センサーダストはつかず(OM-SYSTEMに限って)、望遠に強く、圧倒的な連写性能を誇ります。カメラは持ち出して撮らなければ意味がありませんよね。これら要素は格段にシャッターを切る機会を増やしてくれます。これでなければ撮れなかった写真は山程ありますし、他人に褒めてもらった写真や、自分で「これは!」と思ったものの多くがマイクロフォーサーズ機で撮ったものです。
正直言って、いつNikonのフルサイズ機を手放すかを常に考えています。工夫次第で弱点をカバーすることはできます。ネガティブな部分にばかり目を向けるよりも、前述のようなポジティブなところを評価し、シャッターチャンスを広げていってほしいと切に願います。
もちろん、「面倒なことは何も考えたくない!デカくて重くてもいい!」とお考えになるならば、フルサイズ機も全く問題ないと思います。高機能であるほど、特に経験の浅い人には上手に撮れるはずです。実際、私も色々面倒なときはZ6を持ち出すことも多々あります。
もし、マイクロフォーサーズ機を買ったものの、なんか違うなあ、イメージしたように撮れないなあと思った方は、本稿を参考にしてみてください。少なくとも、ブレたりザラついた写真は減ると思います。あとは腕次第!がんばってくださいね。