(ちょっと)古いレンズにご用心
失敗ブログ、はじめます
はじめまして、みーなと申します。
これから写真にまつわる失敗を題材としたブログを時々書いてゆきます。
僕の詳細な人とナリはツイッターを参照していただくとして、簡単に言うとカメラを始めて3年ほどの、素人に毛が生えた程度の存在です。
なので、大した写真もあげられませんし、撮影テクニックなどは他のブログを参照してください。僕にできることは、僕が初心者なりにやらかして、他の初心者の皆さんもするかもしれない失敗を、詳らかに公開することです。
かなり恥ずかしいですが、俺の屍を越えてゆけ精神で書こうと思います。
※以下は、いわゆる「オールドレンズ」をマウントアダプターを介して愛でることに関する記述ではありません。ご注意ください。
フォーサーズレンズという選択
僕は以前OLYMPUSのE-M5MarkⅡというカメラを所有しており(現在はE-M1MarkⅡに代替わり)、キットレンズであるM.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 IIを使用していました。
このキットレンズは、広角から望遠域まで幅広くカバーし、ほぼすべてのシチュエーションで用をなすという、いわゆる便利ズームです。世間の評価でも「便利なわりにはよく写る」という評価で、これ一本でどこでも行ける、しかもコンパクトといいことずくめなものでした。
しかし、便利ズームは便利ズーム、概ね良好な解像をするものの、ときどき「おや?」と思うような、もやっとした写りをすることがありました。
(それなりの写り)
そこでステップアップとして考えたのが、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROでした。大三元の一角、標準ズーム域をカバーする通しF2.8のレンズで、描写の良さは折り紙付き。以前借りたことがあり、「レンズでこんなに違うのか!?」と驚かされたレンズでもありました。このレンズに行き着くのはごく自然なことですが、自分にとっての問題は価格でした。
価格.comの最安値推移を見ていても、おおむね75000円前後を行ったり来たりしています。当時の自分にとって、レンズに75000円を出すということはハードルが高いものでした(今でもポンと出せる金額ではありませんが)。
そんなとき、うんうん思い悩みながらインターネットの検索に明け暮れていると、新たな選択肢が現れました。それが、OLYMPUSのマイクロフォーサーズ規格のひとつ前の規格、フォーサーズマウントのレンズであるZUIKO DIGITAL ED12-60mm F2.8-4.0 SWDでした。
12-40mm F2.8 PROに勝るとも劣らない解像力、20mm長い望遠端は魅力的でした。通しではないのでF値は変動しますが、絞りがちな自分の撮影スタイルではあまり関係ありませんでした。購入を決意。
(E-M5MarkⅡ+ZUIKO DIGITAL ED12-60mm F2.8-4.0 SWD)
(E-M5MarkⅡ+ZUIKO DIGITAL ED12-60mm F2.8-4.0 SWD)
マイクロフォーサーズマウントをもつボディには、マウントアダプターMMF-3を介して装着します。中古良品のこのレンズと、MMF-3を合わせておよそ45000円ほどで買った覚えがあります。75000円と比べればうれしい安さ。しかし、後にこれが誤算となります。
失敗したなぁ、と思う点は大きく3つあります。
1.AF形式の違いに戸惑う
まず、真っ先に気づいた違和感は、AF時の挙動でした。いままでのレンズや、借りた12-40mmでは、シャッターボタンを半押しするとスッと合焦しレリーズでき、ストレスはありませんでした。しかし、この12-60mmは違いました。半押しすると
ガガ・・・ガガガ・・・ッ ピピッ(合焦音)
こんな具合に、
・変な音と振動
・AFが遅い(3秒ぐらい?)
という問題が発生しました。AFが迷子になると一生合わないので、手でフォーカスリングを回して助けてあげることもありました。手がかかります。
しかし、このレンズの名誉のために申し上げておくと、こうした問題が発生するのは、「そもそもフォーサーズレンズはOLYMPUSの一眼レフのために開発されたものである」ということと、「E-M5MarkⅡはコントラストAF方式のみを採用している」ことを、僕がわかっていなかったことに起因します。
一眼レフのAF方式は位相差AFといって、12-60mmはこのAF方式に最適化された設計です。OLYMPUSボディの上位機種では、像面位相差AFというものが採用されているので、フォーサーズレンズとの相性はそこそこ良いのですが、コントラストAFのみのE-M5MarkⅡと12-60mmの相性は、良いとはいえないものでした。
「コントラスト」「位相差」2つのAFを理解する - ITmedia NEWS
2.小さなボディに大きなレンズというアンバランス
マイクロフォーサーズシステムの利点に、軽量コンパクトであることがあげられます。12-60mmは575g、MMF-3の42gと合わせて617gです。対して12-40mmは382gとかなりの差があります。12-40mmは後日E-M5 MarkⅡのキットレンズとしてコンビにされたことからも、ボディとのバランスは悪くないことがわかります。
しかし12-60mmは重く、マウントアダプターを介するぶん長くもなります。グリップのあるE-M1ならまだしも、グリップのないE-M5 MarkⅡにはオーバーなサイズ感です。一日使うと手が痛くなることもありました。結局あとになって、グリップ向上のためHLD-8を買うことになり、余計な出費となりました。(10000円ほど)
賢明な読者諸氏ならお気づきかと思いますが、この時点で中古良品の12-40mmに手が届く程度の出費を重ねています。
3.リセールバリューという概念をわかっていなかった
僕の運用では多少不便とはいえ、きちんと可愛がってやれば使えるレンズといえる12-60mmでしたが、その後M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROという、神とも悪魔とも呼ばれるレンズの存在を知ることになります。当時すでにいい感じに金銭感覚が狂い始めていたため、新品で12万円、中古でもタイミング次第で9万円ぐらいで手に入るこのレンズは非常に魅力的でした(今でも欲しい)。
12-60mmと焦点域が完全に重複しており、なお望遠端が延びるため、12-100mmを買うとすれば12-60mmを手元に置いておく意味はあまりありません。描写がはっきりと違うならまだしも、ネット上の作例を見る限りは写りにおいても12-100mmのほうが一枚上手だと感じました。
では、12-60mmを手放すか?そこに落とし穴がありました。
がびーん! pic.twitter.com/k79yMtQmrU
— みーな@写真 (@meenaphoto) August 21, 2018
なんとマップカメラでの買取査定額はゼロ円。これには少しショックを受けました。ちなみにキタムラなら最高で9000円となっていますので、まだ手放すならこっちのほうが…という気持ちになります。
リセールバリューという言葉があります。中古買い取りを求めたときに、いくらになってくれるか?という意味です。
レンズは空気や水のように人間社会を流れ、次々と人手に渡りながら循環していくもの。中古で手放すときにいくらになりそうか?ということを念頭に置いて購入計画を立てるべきだったのです。
参考までに、OLYMPUSの現行レンズである12-40mm F2.8 PROであれば、マップカメラのワンプライス買取で45100円の値が付きます(執筆時現在)。中古価格57800円のものを45100円で手放すのと、33000円の12-60mmを9000円以下で手放すことのどちらが得かなんて、小学生でもわかりますよね…
もしあのとき12-60mmではなく12-40mmを選択していたら…という意味のないifが頭をめぐります。今となっては12-40mmが欲しい気持ちはありませんが、今後12-60mmを手放しても手放さなくても心にしこりが残ることになりそうです。なによりそんなことより12-100mmが欲しい(つらい
もし12-100mmを思い切って買っても、12-60mmを防湿庫の肥やしにするか、非常に安い査定で買い取ってもらうしかない、というのが現実です。
「現行マウントではない」という、査定における大きなディスアドバンテージを痛感させられた次第です。
まとめ
わかってる人から見れば、「なんで買ったし」と言われかねないフォーサーズレンズとマウントアダプターの組み合わせです。生産が終わったレンズをマウントアダプターを介して楽しむということは、諸々の不都合を受け入れることができる上級者向けの行為でした。そこを理解しないまま、価格だけを見て買い物をすると、自らにのしかかることになります。
しかし重ねて言いたいのは、写りはいいんですということ。レンズに罪なし。しばらくはE-M1 MarkⅡとの組み合わせで、少し速く安定したAFを楽しみながら使うこととします。
(ちなみにフォーサーズレンズはプロキャプチャーLが使用できません。こういう細かい部分にも制限があります)
今回は自分のケースをネタにしたのでフォーサーズレンズの話になりましたが、同一マウントでも新しいボディと古いレンズではAFの挙動が不安定になることもあるので、注意が必要です。レンズを安くあげたいと考えて古いレンズに手を出そうとしている人は、お手持ちのボディとの動作確認をしておいたほうがいいと思います。
また何かやらかしたことを思い出したら記事にします。それでは良いカメラライフを。