ゲーム内フォトグラフィーの可能性に挑む!「あつまれどうぶつの森」で星の軌跡は撮れるか
仮説
5月31日の深夜、いつものようにNintendo Switchの「あつまれどうぶつの森」をプレイしていたときのこと。0時に日付が変わると同時に、5月にいた虫が姿を消し、6月の虫が現れました。そして、その中にはホタル。現実と同じく、ロマンチックな光を放つ美しい虫の姿が画面の中にはありました。そして、こう思いました。
ホタル、撮れるんじゃね?
ゲーム内のスクショで撮るという話ではありません、一眼カメラで撮るんです。もちろんお馴染みの長秒露光と比較明合成で。
アホかと思われても仕方ない気がしますが、思いついてしまったのでやるしかありません。家族が寝静まったあとのひとけのないリビングで、テレビに向かって三脚とカメラをセット。気でも狂ったのか?画面が明るいので長秒露光のためにはNDフィルターが必要です。真っ暗な部屋でテレビに向かってNDフィルターつきのカメラを向ける様子は、明らかに正気を失っています。
ホタルは飛んでいる、しかし…
前回のリアルホタル撮影で活躍してくれた、E-M1MarkⅡのライブコンポジット機能で撮影開始。画面の中を美しいホタルが舞ってくれるので、これはいけたのではと思いましたが…
結果は思うようにはならず。左手の博物館のシルエットに注目してください。ホタルの軌跡を確認することができますが、あまりにも地味。そう、このゲームではホタルに対して画面全体が明るすぎるのです。これは誤算でした。現実世界で、ホタルがいかに暗い闇の中を舞っているかを痛感しました。
また、6月に入ってから、あつ森の世界では蚊が出現。刺されると画面の向きが変わって「カに刺されちゃった」というダイアログが出てしまうため、一発合成するライブコンポジットでは作品そのものがおじゃんになってしまうという問題もありました。
しかし、そんな中で気づいたことがありました。上の写真には二枚とも、明るい光の筋が写り込んでいるのです。最初は部屋の明かりが写っているのかと思いましたが、締め切って照明も落としているのでそんなはずはありません。これは星の軌跡です。
あつ森フォトグラフィーのパラダイムシフト
かねてよりそんな気がしていた「この星空、日周運動してるんでは…?」の疑問に答えが出てしまいました。つまり、
あつ森で星の軌跡写真が撮れる
ということです。随所に作り手の異様なこだわりを感じるこのゲーム、星が動いていないわけはなかった。
しかしまともに撮るためには想像以上の困難がありました。
失敗1
・本体のスリープ機能
Switchはデフォルトではスリープ機能がオンになっています。コントローラーを触っていないと、しばらくして画面がやや暗くなり、1時間で完全にスリープし画面が消えます。これを知らずに一晩を無駄にしました。
失敗2
・蚊
先述の通りですが、回避する方法を発見しました。椅子に座っている状態では絶対に刺されません。一晩中アバターの周りを蚊がブンブンしていましたが、刺されることはついにありませんでした。
失敗3
・ライブコンポジット
これはE-M1MarkⅡのボディ内で、比較明合成画像を一枚の写真として吐き出す機能なのですが、先述の通り1コマ失敗フレームがあるとすべてが終わる欠点があります。なので、ここは素直にインターバル撮影を行い、PC上で合成することにしました。
結果
これがおそらく世界初、あつ森のスタートレイルフォトです。
10秒露光を約1000枚繰り返したものを合成しました。
軌跡が途中で三度波打っているのがわかります。これは三脚がブレたとかではなく、おそらくゲーム内での処理ではないでしょうか。空を四分割して表示しているのかな?専門ではないので詳しくはわかりませんが、こうして撮ることによって新しい事実が発見できるのは面白いです。あとは明るい星と暗い星では軌道が違います。現実世界ではちょっとありえない動きなのでは。
予想外に難しかったのは、ゲーム画面を撮影したものをレタッチすることでした。今も少し納得出来ていません…
総括
あとに続く人がいるとは到底思えない試みでしたが、思いついたことを実行し、失敗したら原因を分析、そうして結果につなげていくというサイクルは素直に楽しいものでした。
工夫次第で無限の楽しみ方があるゲームですから、このやり方に限らず、みなさんもぜひ、あつ森の新しい可能性を拓いていってください。きっとワクワクすると思いますよ。