Meenapic

育児、カメラ、よしなしごと

新米パパママへ伝えたい、子どもの出生〜1歳までの写真の撮り方

子供を撮ろう!(でもどうやって?)

 はじめましての方ははじめまして。Twitter上で写真アカウントを細々と運営している、みーなと申します。

みーな (@meenaphoto) | Twitter

 

私事ですが、2019年3月8日に長男が誕生しました。それ以来、分娩室から1歳の誕生日まで、かつてない枚数の写真を撮ってきました。

毎日、目まぐるしいスピードで成長を遂げていく子どもの姿を追うことは、後々の親子にとって、かけがえのない財産へと変わります。そして、子どもの写真を撮ることは、シンプルに楽しい!その中で得た気づきを、これからパパママになる方々へお伝えできればと思い記事にします。

カメラは持ってるけど/こんど産まれてくる子のために買ったけど、どうしたらいいかわからない!という方々のためになれば幸いです。なお、簡単に説明するために、かなり大雑把な表現になっている項目が多数ありますが、カメラ上級者の皆様におかれましては、大目に見ていただくようお願いいたします。

 

僕は子どもが生まれるまでは風景写真をメインで撮ってきましたが、風景と子どもでは気をつけることやカメラの設定、機材も違います。また、月齢によって子供の振る舞いも変わってくるので、成長に合わせて撮り方を変えていく必要があります。

 以下は、子供を撮るに当たって基本となる総論的な位置づけの話です。

DSC_9040

 

ボカしちゃえ!

 一眼カメラを手にするときの動機は一般的に、

背景がボケた写真ってプロっぽくてカッコいい

ということですよね。でも、「ボケに頼っていると写真がうまくならないよ」とよく言われるのではないでしょうか。これは写真技術一般に当てはめると真実の一端をとらえているのですが、この際そんなお説教は無視してガンガンにボカしましょう。

ボカすということは、ピントのあっている面以外の情報量を減らし、見てもらいたいものへ視線を集中させることです。あなたの世界最高に可愛いお子さんの可愛さを表現するのに、理屈は必要ありません。カメラを絞り優先オートに設定し、f値を小さくして心ゆくまでボカしましょう。

ちなみに僕は明るい(f値の小さい)レンズを使用する際は、f1.4などの超明るい数値に設定すると、赤ちゃんの顔面のなかでもピントのあっている面とそうでない面に極端に分離してしまうので、例えば35mmのレンズではf2〜f2.8ぐらいまで絞ります。これはレンズの焦点距離と赤ちゃんまでの距離、あるいは前景背景の位置にもよりますので、ご参考まで。あくまで僕の好みの話でもあります。

また、ボケは散らかった部屋をいい感じにわかんなくしてくれます。「撮りたいけどいちいち片付けるのは面倒…」そんなモノグサさんも、レンズのパワーで解決です。

 

ここからは成長の段階に合わせた各論です。

出生〜手ブレに気をつけろ!〜

_DSC5854

(出生の前日、陣痛室にて。)

 

 分娩室へのカメラの持ち込みが許されるかは、事前に病院側へ問い合わせておきましょう。我が家のケースでは、静止画はOKでしたが動画はNGでした。

分娩室へ駆けつけたパパは、まず赤ちゃんの写真を撮る前に、出産という大仕事をやり遂げた奥様をねぎらってあげてください。義務を果たしたら(オイ)、いよいよ赤ちゃんとの対面です。あまり長い時間は貰えないかもしれないので、カメラの設定は事前に済ませておきましょう。特に手ブレに気をつけてください。室内というのは、思ったより暗いものです。シャッタースピードが遅くなりすぎないよう設定するのがベストですが、難しければプログラムオート(カメラにぜんぶおまかせモード)でもいいかもしれません。とにかく一生に一度しかないシャッターチャンスを、手ブレで終わらせないことが最も重要です。

 

_DSC5860

シャッタースピードを速くすると、代償としてiso感度が上がって画像が荒れがちになりますが、ブレているよりはましです。赤ちゃんを撮影するときに限った話ではありませんが、絞り、シャッタースピードiso感度といった「露出の三要素」の関係を押さえておけば、ブレを起こさずに狙い通りの写真が撮れるようになります。ここで説明すると、それだけで一本の記事が書けてしまいますので、初心者向けのサイトを読んでみてください。

具体的には、「1/焦点距離」となるようにシャッタースピードを設定するというのが、一般論としてあります。それでもブレるときはブレるので、1/100ぐらいにしておけば安心かなと思います。不安ならスマホでも撮っておき、保険とするのもいいと思います。手ブレさせない自信がある方は、手ブレ限界までシャッタースピードを遅くして、可能な限り感度を低く抑えましょう。そうすることでざらつきの少ない画像を得ることができます。また、後述しますがストロボを使用しての撮影は、この時点では行いませんでした。

 

ニューボーンフォト(新生児期)〜窓際が正義(ジャスティス)〜

 退院したら、ニューボーンフォトを自分で撮るのもいいと思います。新生児期って、けっこうあっという間なんですよね。撮れるうちに、触れたら壊れてしまいそうな繊細な生命の記録を残しましょう。どうせ一年後には、出生直後には想像できなかったぐらいのタフガイ、タフレディーに成長します。もちろん業者さんに頼むのもありです。

撮影のコツは、日中の窓際、太陽光がレースカーテンごしに柔らかく入り込む場所ですることです。赤ちゃんのようにソフトな被写体には、ソフトな光が似合います。加えて、レフ板を使って影を起こしてもいいと思います。夜、室内の電灯下で撮ることはオススメできません。夜の室内は暗くて感度を上げざるを得ず、やってみるとよく分かりますが、色もうまく出ません(ニューボーンに限った話ではありませんけど)。

生まれたての赤ちゃんはけっこう肌がガサガサしているので、LightroomなどでRAW現像をしている方なら、「明瞭度」を少しマイナスに振ると丁度良くなります。これはお好みで。

 

撮影小道具

 楽天で、赤ちゃんを入れるカゴを買いました。これに手芸用品店で買ってきた、ふわふわの布を敷き、百均の造花などでデコレーションします。カゴはニューボーンが終わってからも、何かと雑多な物を入れることができるので便利です。ふわふわ布も、他の用途に応用がききます。

item.rakuten.co.jp

_DSC5996

 

_DSC5926_Luminar2018-edit

 

マクロレンズも活躍します。赤ちゃんの小さな手、かわいいあんよを大人の手や指と比べてみましょう。把握反射があり、簡単に握ってくれるので撮影は難しくないですよ。

_DSC5918

 

_DSC5953_Luminar2018-edit

 大人の都合で撮影を進めてしまいがちですが、赤ちゃんの体調第一でお願いします。赤ちゃんは気温の変化に敏感なので、特に服を脱がせて撮るときは手早く、かつ脱いでも寒さを感じにくいよう室温をコントロールしましょう。

また、ニューボーンフォトの定番ポーズとして、赤ちゃんがうつ伏せに寝そべりながら、両手で顎を支えるものがありますが、危険ですので控えましょう。世に出ている写真は、スタジオで撮って合成されたものです。 

 

_DSC6113_Luminar2018-edit-Edit

ストロボについて

 ストロボの強い光が赤ちゃんの視力に悪影響を及ぼすとか、及ぼさないとか、いろいろ意見がありますが、自分の観測範囲ではどちらの意見にも明確なエビデンスはありませんでした。おそらく、これをテーマとしたコホート研究自体がないのではないかと思います。研究がないことにははっきりしたことは言えないのですが、こういうとき言えることは「心配ならやらないほうがいい」ということです。

一応我が家では、大人とおなじように日中出かけるようになれば、まあいいかなという程度で基準を設けてから使用しました。太陽光はかなり強いので、これが大丈夫なら問題ないだろうという程度の認識です。本当に不安なら、わざわざ使うことはないと考えます。

 

お宮参り〜お前が写真に写るんだよ!〜

 お宮参りでは、出張撮影サービスを利用しました。主役はもちろん赤ちゃんなのですが、親である自分がカメラを持ってウロウロするわけにはいきませんから…ネットで検索すると、カメラマンごとの作品例が提示されていますので、ご自分の好みの作風の人に依頼しましょう。人によってけっこう個性が出ますので、事前の検討が重要です。今回の場合、色や機材はまあまあよかったのですが、カメラマンの方が日中シンクロを多用する方だったので、そこはちょっと自分の好みではなかったなと思いました。そうでない写真は良いものだったので、概ね満足はしています。なにより、普段写れない自分が写真に残ることができるのは有り難かったです。

安いところなら二万円弱から頼めるようです。我が家の場合は遠方からの出張依頼だったので、二万五千円程度だったと記憶しています。

 

首がすわる前からおすわり期〜やっぱり窓際、ときどきストロボ〜

 これぐらいの時期から、毎月の誕生日(8日)に、記念写真を撮ることが習慣になりました。最初は、いわゆる寝相アートというものです。妻が最初撮り始めたので、はじめての寝相アートはスマホによるものです。ネタはインスタなどで検索してマネをしたようです。やはり寝かせる場所は窓際が良いと思います。

_6080491

(3ヶ月なので「3」の文字)

 

首が据わるようになると、赤ちゃんはうつ伏せにしてもだんだん平気になってきます。こうなると、地面に寝かせて撮るよりも、壁をデコレーションしてその前に寝かせるスタイルが安定するようになります。

DSC_3319

このやり方だと、自然光を利用した撮り方が難しくなる場合があります。デコレーションできるほど大きな壁が、窓のすぐそばにあるとは限らないからです。我が家ではこのとき自然光には頼らず、ストロボ一灯による天井バウンスで撮影しました。

このときの飾り付けはネット通販で用意しましたが、百均でもいいものがあったかもしれませんね。

item.rakuten.co.jp

 

DSC_6217-Edit

ハロウィン時期での一枚です。光源はLEDランタンとロウソクの明かりのみ。自然光が入らないように、カーテンを閉め切って撮影しました。カボチャとオバケが思いの外いい感じに光ってくれましたが、内部にロウソクを仕込んでいるため火事には細心の注意を払いました。ランタン以外の小道具はダイソーとSeriaで用意したので安上がりです。

 

ハイハイから伝い歩き期〜迫りくるヤツ〜

DSC_8671

 ハイハイができるようになると、動きが途端に活発になり、もはや以前のような撮り方ができなくなります。したがって、AFの設定もAF-Sで撮っていたところを、AF-Cで撮るようになります。また、瞳AFがある機種はその威力を発揮します。とにかくカメラを向けるとずんずん向かってきます。AFが強いにこしたことはありません。

描写の味を求めて買ったMFレンズの出番はなくなります。しゅん。あとめっちゃレンズの前玉を触られます。

もし今から子供撮りのためのカメラを買うとしたらどれ?と聞かれたとしたら、瞳AFに定評のあるSONYのα6600とお答えします(自分が使っているのはNikonですが、精度と速度においてSONYには負けています)。

ハイハイ期以降のカメラ設定

 赤ちゃんが動いていない時期では、「シャッタースピード=1/焦点距離」でも大丈夫なのですが、動き始めると被写体ブレの問題が発生してきます。赤ちゃんは意外と素早く動くので、1/100程度では歩留まりが怪しくなってきます。したがって、1/200ぐらいのシャッタースピードが安心できる設定となりますが、その分感度を上げるか絞りを開く必要があるため、兼ね合いで設定は決めます。

記念撮影でも動いてしまうため、以前より難度が跳ね上がります。しかし我が家の場合豆イスに座ると動けなくなることを発見したので、なんとか1歳の誕生日記念写真を撮ることができました。この手もそのうち使えなくなるんでしょうね・・・

DSC_95182

(撮影小道具はほぼ百均で。白シャツは西松屋の安いやつ。天井バウンス+左からのアンブレラのストロボ二灯でライティング。右半分が暗く落ちてしまい反省・・・) 

 

ここまでが出生から1歳の誕生日までの撮り方でした。同じ子供を写しているのに、本当に全く別のものを撮る感覚になりました。

機材について

 カメラボディは、センサーサイズによって分類されます。

フルサイズ>APS-Cマイクロフォーサーズ の順番でセンサーが大きく、一般的にボディの大きさ、レンズの大きさもこの順番です。大きいほど重くなります。センサーの大きさにボケ量が比例するため、より大きなボケがほしい人は大きなセンサーフォーマットを選択することになります。

自分が愛用しているのはNikon Z6(フルサイズ)とOLYMPUS E-M1MarkⅡ(マイクロフォーサーズ)です。主に室内で子供を撮るときは、機材の重さは気にしないのでZ6を使用することが多いです。E-M1MarkⅡはアウトドアに持ち出すことが多いです。

室内撮りでは、最初はキットレンズの24-70mm f4を使用していましたが、描写と開放f値を求めてTamron SP 35mm  f1.4を使用するようになりました。

www.tamron.jp

xico.media

この35mmという画角は、室内の様子を写しつつ被写体を捉えるのに適していて、とても自然に切り取ってくれます。スマホのレンズがおおよそ28mm程度だそうなので、スマホで普段写真を撮っていると、違和感なく馴染めるのではないでしょうか。

DSC_8110

DSC_8823

DSC_8215

広角になるほどボケにくくなるため、明るい単焦点レンズという選択肢は有効です。

 

おっきなカメラ持ち歩くのやだ!という方は小さいセンサーのカメラを使うのが良いでしょう。先述の通りボケにくいですが、明るい望遠単焦点を使用すればボケ量は得られます。広角ではないので、周りがどんな様子であるかは抽象化されます。ボケ量と広角の度合いはトレードオフなので、どちらを優先するかを考える必要がありますね。

P2201183

P2201138

(E-M1MarkⅡ+m.zuiko digital 45mm f1.8)

photo.yodobashi.com

 

おわりに

長々と書き続けてきましたが、これで自分が我が子の出生から丸一年を見守ってきた経験の記録は終わりです(もともとそんな話だったっけ?)。

自分が撮りたいから撮っているだけであって、他の誰のためでもないのですが、もし自分のエゴが子供本人や他の誰かを喜ばせることにつながれば幸せですし、この記事を読んだ方がご自身のお子さんを撮るときに役立ててくれれば、この上ない喜びです。

これからも変わらず僕は我が子を撮り続けます。彼が大人になるその日まで、きっと続くでしょう。

また気づいたことがあれば、記事にまとめます。またお目にかかるその日まで。